編集ノート:東京経済大學の周牧之教授の教室では、リアルな學びの一環として第一線の経営者をゲスト講師に招き、最新の産業経済を議論している。2020年末は、日本のコンテンツ産業最大手、ぴあ株式會社の白井衛取締役を迎え、新型コロナウイルス禍にあって大きな打撃を受けた日中のエンターテイメント産業について対談した。
■若者による起業の先駆的存在
周牧之(以下周) 白井さんに毎年ゲスト講義をしていただいている私のゼミの學生は今年度、新型コロナウイルス蔓延の影響でキャンパス外での活動が殆どできませんでした。
白井衛(以下白井) 周ゼミはこれまでぴあのインターンシップや小田原市などで調査をされていましたね。
周 ぴあのインターンシップでは學生がコンサート興行やイベントなどを経験し、かなり刺激を受けました。ローカルサミットにも毎年參加し、街頭調査などを活発にしていました。今年はそうした活動の代わりに、大學最寄りの國分寺駅にある百貨店マルイと周ゼミとで議論を始めました。國分寺市も巻き込んで、「國分寺の街を変え、大學でのキャンパスライフを変えよう」というコンセプトでやっています。
マルイはいま、アイカサという傘のシェアリングサービス會社を応援しています。周ゼミがSDGsとシェアエコノミーを學內で実踐するために、キャンパスでこのサービスを導入しました。アイカサ社長は若い起業家で、ゼミ生と年齢差があまりないです。
白井 そんなに若い方が起業された。
周 ぴあも若者による起業の先駆的存在として知られている。
白井 ぴあは、今のオーナーが若い仲間を集めて雑誌を作ったのが始まりです。雑誌の中身は、まさに今のインターネットと同じ、映畫、コンサートと芝居の情報です。例えばある映畫がどこの映畫館でいつ何時に上映されるかチケット代はいくらか、を載せた文化の時刻表を作ったのです。
1972年にぴあが創業をし、雑誌を作った。その後チケットぴあというビジネスを始め、ぴあカードというクレジットカード機能をつけ、大阪、名古屋、北京に進出し、たくさんの事業をしてきました。
私は新規事業擔當で、チケットや出版以外に、ホテルぴあでホテル予約システム、グルメぴあでレストランの予約システム、結婚ぴあで式場の予約システムを作ったりしました。これらの原點は、その時代時代に自分たちが一番欲しいと思ったものを作ることでした。こんなものがあったら便利だと思うものを作っただけです。
周 白井さんはぴあの新規事業をずっと開拓し、北京の子會社も作ったのですね。