日本の內閣府は先ほど、2023年度の経済財政報告(経済財政白書)を発表し、「日本経済が転換點を迎えつつある」とした。これを受け、スタンフォード大學教授の青木昌彥氏(故)の、日本経済の「移りゆく30年」という予言が再び取り上げられた。つまり90年代前半のバブル崩壊後、日本経済は「喪失」から抜け出すため少なくとも30年かかるということだ。それでは日本経済は現在、「新たな転換點」を本當に迎えているのだろうか。
日本の株式市場には確かに大きな変化が生じている。主に外資參入により、日経平均株価は今年7月に1990年以來の最高値の3萬3750円を突破した。実體経済のデータも好転を示している。日本経済の第2四半期の実質成長率は年率換算で6.0%で、GDPが3四半期連続で増加した。うち外需が経済の主な推進力になった。日本の上半期の輸出額は前年同期比3.1%増、特に米國と歐州への輸出額が11%増?12.5%増と顕著だった。大企業の収益狀況などのその他の指標にも一定の改善があった。
ところが、そごう?西武による大規模ストが突如発生し、これらの數字から輝きを失わせた。本件は日本経済の深いレベルの問題を反映した。1950年以降の労使協議體制の構築後、日本ではほとんどストが発生しなかった。しかし8月31日には900人を超える従業員がストに參加した。參加者は、この百貨店が米國の投資ファンドに売卻されることで、自身の利益が守られなくなることを懸念した。日本の労働者の地位は平成以降に全體的に低下を続け、貧富の格差がさらに顕著になった。
貧富の格差はすでに日本経済の成長を妨げる深刻な問題になっている。株価上昇は、株を保有する一部の富裕層のみに恩恵をもたらす。日本の世帯の金融資産に占める株式の割合は平均で14%のみで、これは貧富の格差をさらに広げたようなものだ。記録的な物価高はすでに日本國民にとって相當な負擔になっており、貧困世帯にとっては特にそうだ。
當然ながら少子高齢化は現在も日本経済の成長を妨げる最大の問題となっている。高齢化の経済への重要な影響は、潛在的な経済成長率を下げることにある。労働者の減少、資本?貯蓄の縮小、全要素の生産性の低下などの問題を引き起こすためだ。日本の現在の潛在的な成長率はわずか0.3%前後で、バブル崩壊前の10分の1のみだ。また65歳以上の世帯の消費支出が占める割合が39%で、平均資産も1916萬円にのぼっている。高齢者の消費が日本の內需に対して非常に大きな影響力を持つことが分かる。
これらの深いレベルの深刻な問題の解消に向け、日本政府は強い自信を示しておらず、改革の取り組みも大きく不足し、さらには方向がずれることが多い。アベノミクスの実施後の異次元緩和により、日本政府は財政バランスの法則への軽視を強めている。財政健全化の目標達成を何度も延期し、新規國際発行額が毎年増加し、2020年には一挙に108兆円を超えた。今や國の借金は1270兆円を超え、GDPの260%を占め、他國に大きな差をつけている。政府の圧力を弱めるため、日銀のバランスシートも膨らみ続け、現在すでにGDPの約132%を占める743兆円にのぼっている。これは歐州中央銀行(58%)と米連邦準備制度理事會(32%)の2?3倍だ。
金融リスク、財政リスク、目下の為替リスクが「灰色のサイ」のように近づいている。「新たな転換點」とは日本経済にとって絵に描いた餅だろう。
(筆者=張玉來 南開大學世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2023年9月7日