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オレンジペコーなプーアル茶 パート2 |
発信時間: 2010-02-02 | チャイナネット |
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(前回からの続き) 一方で、「むかしのエンターテイメント」ってどうでしょうか。スペインでいえば、闘牛かもしれませんね。フランス、ドイツではオペラでしょうか、日本では歌舞伎などもありますね。そうこれらは、確かに人を引きつけますが、決して現(xiàn)代に生きているほとんどすべての世界の人たちに共感をよびおこすようなユニバーサルなものではないのです。もちろん、そのエンターテイメントに実際に関わっている方を、僕は尊敬しますし、それを需要者として愛してやまない方がいてもまったくもって変なことではないと思います。しかし、対世界(國境を超えてという意味)の國家として考えると、より多くの別の文化に屬する人たちから愛される文化をもっているかどうかというのが、その文化を持っている國を見つめる方の國からすれば、ひとつの好きかそうでないかということに関わってくる要素になるのではないかと思います。 マニアックな興味をひくだけでは、「文化保護(hù)」という名目で保存されるか、一部のひとたちだけの心をつかむに過ぎない物になってしまうのではないかと思うわけです。それとは逆にユニバーサルなエンターテイメントは確実に「文化保護(hù)」すら、する必要がないほど、経済的魅力もありますし、それが好きな人たちによって、ボランタリーに支えられるでしょう。 つまりは、こうした「ユニバーサルエンターテイメント」をクリエイトすることができる、イノベーションの力をもっているかということが、國家として別の國家に「好かれる能力」であるといえるのではないでしょうか。また「ユニバーサルエンターテイメント」はその他の基礎(chǔ)的技術(shù)を必要としますから、最高位に位置する応用科學(xué)のひとつといえなくもありません。日本のアニメなどは、電子機(jī)器技術(shù)、CG(絵畫)技術(shù)、職人的人的資源管理技術(shù)などかなり多くの基礎(chǔ)応用技術(shù)の上になりたっています。その基礎(chǔ)応用技術(shù)の前には、もっと細(xì)かい基礎(chǔ)技術(shù)があるはずです。 さて、中國に話をもどしてみましょう。中國は、國家としての歴史が長くまた、千年以上もさかのぼって、當(dāng)時にこの「ユニバーサルエンターテイメント」をつくれるだけの能力があったと思います。だから、紙をつくることができたことなどは基礎(chǔ)技術(shù)ですが、そうした基礎(chǔ)の上に、茶道も、陶器も、絵畫も、當(dāng)時の最高の技術(shù)を集めた「ユニバーサルエンターテイメント」だったのでしょう。だからこそ、そうしたものに、西洋のひとが度肝を抜いて、たとえばお茶を好んだのかもしれません。しかし、近代になって、そうした、過去の栄光が、中國にイノベーションを起こす力を落としたのではないでしょうか。さらに、貨幣的、経済的な困窮によって、基礎(chǔ)技術(shù)も発展することがなかったわけですから、絶対に「ユニバーサルエンターテイメント」は生まれなかったはずです。(だから、多くの國のひとたちが好きではないと言っているのだろうということです。) 中國は西洋に文化的にキャッチアップしてきたということでこの意見を批判されることもあるでしょう。しかし、それは、西洋が引いたレールで追い越そうとしているだけで、別のレールが中國によって引かれたわけではありません。最近、中國でも、現(xiàn)代アートや、西洋音楽の世界で名前がうれてきている方もいらっしゃいますが、これは、西洋のユニバーサルエンターテイメントを踏襲しただけで、中國獨自のユニバーサルエンターテイメントでは決してないことに注意が必要です。これは、歴史や文化という言葉で、「関係性」に落とし込まれるものではなく、當(dāng)該國の「好かれる能力」の問題だと思うわけです。 フランスを日本がいいと思うのは、フランス人がいい人(?)だからでも、フランスの歴史がいいからでもなく、フランスの國家國民の、類まれなる「好かれる能力」の研鑽によって達(dá)成されたものであって、日本人とフランス人の歴史云々は一切関係ないわけです。同じように、中國も、いま、経済の困窮からは脫し、むしろ、世界経済を牽引するような狀況になってきたわけですから、過去のエンターテイメントに頼ることなく(これはすごく重要です。それをベースに発展させることではイノベーションではなくコンポーネントのアップデートになってしまいます。)、基礎(chǔ)技術(shù)に投資し、さらにエンターテイメントイノベーションに投資(企業(yè)でいえばR&D部門への投資です。中國では海外諸國に比べ一般企業(yè)としてR&D投資が少ないのではないかということが議論されています。)するようになれば、なんのことはなく、世界から大絶賛をうける存在になるでしょう。 だから、僕は中國とかかわる日本人として思うのです。「言うは易く行なうは難し」なのはわかった上で、いいたいですね。中國はひとつ、「ユニバーサルエンターテイメント」をつくってください。間違いなく、世界からの目はかわりますから! (中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
?チャイナネット? 2010年2月2日 |
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